総合プロジェクトには、5つのプロジェクトがあります。
これまで「産業観光」「子どもの居場所」「文化をPLAYする」「まちプロジェクト」など、多彩なプロジェクトを紹介してきました。
そして今回は、いよいよ最後のプロジェクト「Work Space」をお届けします。
「Work Space」とは?
既存の働く場所のあり方を見直し、より自由で快適に働ける環境をつくるとともに、交流を生み出すことを目的とした取り組みです。
学生たちは墨田サテライトキャンパス1階の利用状況に注目し、「快適な空間にするには?」「もっと使いやすくできるのでは?」という問いから研究を始めました。
このプログラムは、学生一人ひとりが異なるテーマを持ち、さまざまな角度から研究を進めています。
今回は、その中でも「本」に注目し、交流のきっかけを探る学生の取り組みをピックアップしました。
本でつなぐ交流の輪
キャンパス1階は地域に開かれたスペースでありながら、学生の滞在は少なく、交流の機会も限られていました。
そこで「多様な世代が自然に交流できる場をつくれないか」という思いからプロジェクトがスタート。
まずはスリット付きパーテーションを設置して場を整えましたが、「場を整えただけでは、初めての会話はなかなか生まれない」という課題が見えてきました。
そこである学生は「本」に着目。
「本を読むことやおすすめを紹介し合うことが、世代を超えた交流のきっかけになるのでは」という仮説を立てました。
世代を超える「きっかけ」を、本棚から
そこで作ったのが、本を収納し気軽に持ち運べ、さらに座ったり机としても使える「持ち運び本棚」です。
この本棚は、本をきっかけに会話を広げる交流装置。
「この本、懐かしいですね」「最近これを読みましたか?」
そんな何気ない一言が、年齢や立場を超えた対話を生み出します。
座ったり机として共に過ごす時間をつくり、持ち運びできることで交流の場を広げます。
また、読書だけでなく、作業や休憩など多様な過ごし方を可能にし、利用者が思い思いに過ごせる環境づくりを目指しています。
イベントでの実証実験
この効果を確かめるため、6月28日に京成曳舟駅交通広場でUDC(Urban Design Center)が主催する「夕涼みBook Night」にご協力いただきました。
本を読みながらドリンク片手に夕暮れを楽しむイベントで、子どもから大人まで参加できる読み聞かせも行いました。
外でゆったりおしゃべりしたり、本を読む時間は参加者から好評を得た一方で、空間や環境を含めた総合的なデザインの必要性という課題も見えてきました。
これからの展望
今後は、本を軸に人が自然と集まる「マグネットスペース」のデザインを進め、より快適な読書とラフな休憩のスタイルを検証していきます。
単なる休憩場所を超えた「交流を生むコンテンツ」として、キャンパス1階を地域に開かれた大学のモデルケースへと育てていくことを目指しています。
定例会に参加してみて
「人と人が自然につながる空間とは、どんなものか?」
Work Spaceの学生たちは、この問いに答えるため、試行錯誤を重ねながらイベントや実証実験に挑み続けています。
本棚から始まった小さな挑戦は、やがて地域と大学をつなぐ大きな架け橋へと育っていく。
その柔軟な発想と行動力から、これからキャンパスがどのように変わっていくのか――
その未来がますます楽しみです!
次回の定例会レポートも、どうぞお楽しみに。
墨田キャンパス:墨田サテライトキャンパスとdri | ちばだいプレス
アクセス:〒131-0044 墨田区文花1-19-1 東武亀戸線 小村井駅より徒歩5~10分



