「形の工学」理にかなった『かたち』とは? 

7月23日(水)、西千葉キャンパスにて、「形の工学」の授業で製作されたスツールの講評会が開催されました。

この授業は、デザインにおける「構造」に焦点を当てた実践的なプログラムです。

学生たちは設計から製作までのプロセスを自ら手がけ、構造の理論と実践を融合させながらオリジナルのスツールを製作しました。

課題内容

課題のテーマは、国産の建築材としても広く使われる「杉」を用いて、構造的に理にかなったスツールを設計・製作すること。

学生たちは、シンプルな製作方法の中で、杉材の特性をいかに活かし、効率的かつ合理的に組み立てるかを探求しました。

奇抜な造形ではなく、「使用者にとっての快適さ」や「構造としての安定性」といった本質的な視点から、『かたち』を見つめ直す機会となりました。

当日の様子

教室には60点以上のスツールが並び、それぞれ異なる形状や構造、杉材の使い方に学生たちの創意工夫がにじみ出ていました。

テーマは共通でも、表現されたかたちは多彩で、導き出されたアイデアは非常に興味深いものでした。

講評では、担当教員が一つひとつの作品に対し、構造的な観点から評価を行い、優れている箇所や改善の余地についてフィードバックがありました。

教員からの技術的講評

担当者教員によるフィードバックを、一部紹介いたします。

優れている箇所:

・角を落とすことで、安全性・触り心地・耐久性が向上している。

・脚の下部に貫を加えることで、構造的な強度が高まっている。

 改善箇所:

・脚が長すぎたり間隔が狭すぎると安定感を欠くため、全体のバランス設計が重要。

・重量が増すと破損リスクが高まるため、構成のバランスが必要。

・木の太さや板材の配置は、強度だけでなく見た目の安定感にも関わる。

・見た目の形を優先しすぎると、部材が多くなり、かえって不安定に見える。

・杉材は経年変化により収縮やひび割れが起こるため、長持ちする設計が必要。

並行して、コンピュータシミュレーション(CAD・CAE)を使った構造計算にも取り組んでおり、さらなる設計力の向上を目指しています。

自分たちの作品が、いつか誰かの暮らしや未来に役立つことを思い描きながら、学生たちはこれからも学びを深めていくことでしょう。

講評会に参加しみて

「美しいデザイン」とは何かを改めて考える貴重な機会となりました。

それは単に見た目の良さだけでなく、構造的な無駄がなく、使用性や社会的な文脈との調和がとれているからこそ、美しいのだと改めて感じました。

今回の講評会は、学生たちにとって、ものづくりの楽しさとともに、「理にかなった『かたち』とは何か、そして構造設計における知識や配慮の重要性を実感する経験になったことでしょう。