2025年6月2日(月)から6日(金)までの5日間、千葉大学墨田サテライトキャンパスにて、国際ジョイントデザインワークショップが開催されました。
本ワークショップは、千葉大学、シンガポールの南洋理工大学、台湾の国立成功大学の3大学が連携して実施する、国際的なデザイン教育の取り組みです。
ワークショップ概要
今年度のテーマは 「UX Design for Sumida-bound Tourists(墨田での新しい観光体験の提案)」。
墨田区を訪れる外国人観光客に対し、表層的な観光案内にとどまらない“Deep Sumida”の魅力を、いかに体験として伝えるかを探究することが目的です。
また以下のような条件も設けられました:
「現在の技術で実現可能であること」
「今後1年以内に実現できること」
「アプリのみで完結しないこと」
これらの制約を踏まえ、学生たちは理想と現実のバランスを取りながら、実現性の高い観光提案を目指しました。
活動の様子
国籍や文化の枠を超えて構成された7つのチームが結成。
初日はオリエンテーションとアイスブレイクに続き、「自由観光実験」として墨田区内を巡るフィールドワークを実施。地域を実際に歩きながら、墨田の魅力や観光上の課題を探りながら、体験価値の手がかりを見つけていきました。
その後、各チームは得た情報を整理・分析し、中間発表で仮説やコンセプトを共有。
教員やアドバイザーからのフィードバックをもとに提案を磨き上げ、最終プレゼンテーションに向けて議論と試行錯誤を重ねました。
最終発表日の様子
学生たちは地域に根ざした観光アイデアをそれぞれ発表し、墨田区観光の新たな可能性を提示しました。
発表された企画の中から、いくつかをご紹介いたします。
・「チケットグラス」を活用し、飲み歩きをしながら墨田の街を回遊する体験型企画
・「本所七不思議」をモチーフにした、RPG型の観光ゲーム
・ガチャポンを使ってランダムに行き先を提案し、名所を巡る新しい観光スタイル
・ものづくりとカフェを融合させ、歴史に触れながら自分の物語を紡ぐ体験づくり
いずれのアイデアも、外国人観光客が墨田をより深く知り、楽しめるよう工夫されたもので、学生ならではの自由な発想が光っていました。
それは、異なる国や文化背景を持つ学生たちだからこそ生まれた、多様性に富んだ発表になったのではと感じました。
またワークショップを通じて、学生たちは地域の魅力を掘り下げる力や、課題を見つけて企画を考える力を実践的に学ぶことができました。実現性やリスクへの配慮がまだ不十分な場面もありましたが、そうした課題に気づくことも大きな学びとなりました。
継続する国際連携教育の取り組み
本ワークショップは、2006年に南洋理工大学と千葉大学との連携によって始まり、現在では国立成功大学を含め、多くのアジアのデザイン大学が参加するプログラムとして発展を続けています。
学生たちが異なる文化的背景を持つ仲間とともに、地域課題の発見から解決提案までを一貫して行うこの取り組みは、グローバルな視野・創造力・協働力を育む貴重な実践の場となっています。
今後もこうした国際的な連携を通じて、次世代の人材育成を推進してまいります。







