墨田サテライトキャンパス発!定例会レポートvol.7 

総合プロジェクトでは、月に一度、定例会を開催しています。

卒業検定に向けて、各チームの活動もいよいよ後半戦に入り、これまでの検証をもとに形が見え始めてきました。

今回は、その中でも地域と関わりながら進めている 「まちプロジェクト」 の進捗をご紹介します。

公共的空間を一般利用者が積極的に活用する拠点のデザイン提案

本プロジェクトでは、「まちの中で人と人がつながる場をどうつくるか」をテーマに研究を行っています。

注目したのは、屋台を使った交流空間づくり。屋台の魅力は、人々が積極的に会話をしなくても、人が自然に集まることで場ににぎわいが生まれる点です。

「同じ空間を共有する」ことがきっかけとなり、結果として自然な交流が生まれることもあります。この屋台ならではの特徴に着目し、交流が生まれやすい空間づくりを探求しています。

今年9月までは、六角形のパーツを組み合わせて自由に形を変えられる可変型の台を制作しました。

10月の実証とイベント設置

10月には、制作したプロトタイプを月見夜会・コスプレイベント・パークシネマ・すみだジャズの4つのイベントに設置し、人々の滞在行動や交流の生まれ方、テーブルや空間の使い勝手を観察しました。

また、イベントに合わせて台の配置を変えるなど、現場で工夫を重ねました。

例えば、コスプレイベントでは台をつなげて長いテーブルに配置し、すみだジャズでは円形や丸い六角形にアレンジして、形を柔らかくしました。

気づきと今後の方向性

実証を通して、来場者が場に滞在したり、並んで過ごしたりすることで“ゆるやかに賑わいに参加する”状態は生まれやすいことがわかりました。さらに、そのような賑わいの角があると、イベント全体の魅力が向上することも分かりました。

一方で、プロトタイプの段階だからこそ見えてきた課題もありました。

・形状の硬さが与える印象
・テーブルの大きさによる動線の妨げ
・食事中心の一時利用の偏り
・台同士のつなぎ方による窮屈さ

これらについては実験を通して改善を進めてきており、滞留テーブルとしては手応えも得られつつあります。

今後は、「滞留のためのテーブル」から一歩進めて、提供テーブルとしてどのように機能させられるかを検討していきます。

また、運用面に関わる 組み立てやすさ、軽さ、扱いやすさといった「細かい使用感」の精度を高め、より現場で使いやすいユニットへと発展させる予定です。

他者の声からまち歩きを促すマップの提案

墨田区には、長い歴史や文化、個性的な店など、多くの魅力があります。

しかし、墨田区に通う大学生の多くは街を「通過する場所」として利用する人も少なくありません。

そこで本研究では、地域の方の声を集めたマップを通して、大学生が普段見過ごしている場所を新たに体験できる仕組みを検証します。

他者の視点を通して、まちの魅力を再発見し、人と人、人とまちの関係を豊かにするまち歩きを目指します。

検証方法

調査・実施の舞台は墨田区・錦糸町周辺です。

参加者には「おすすめスポット」「お気に入りの場所」「ちょっとしたつぶやき」「思い出」を手書きで書いてもらい、マップ上の該当場所にピンで刺してもらいました。

これにより、日常的には立ち寄らない場所にも足を運ぶきっかけが生まれ、まちの中での交流や新しい発見を促すことを目指しました。

実証イベントでの気づき

これまでに4つのイベントを通じて、未就学児から80代まで幅広い年代の参加者に体験してもらい、計5回の検証で173件の吹き出しメッセージが集まりました。

観察から、次のような行動が確認されました。

・書く・刺す体験そのものを楽しむ
・通りすがりの人が自然に近づいて参加する
・他者の書き込みを見て共感したり、新たに書き足す行動が生まれる
・地域の人でも新しい発見がある

これらの結果から、他者の声を介したまち歩きが、街を新しい視点で再発見するきっかけになることが示唆されました。

今後の展望

今後は墨田キャンパスの学生を対象にアンケート調査を行い、マップが実際にまち歩きの動機づけになっているかを検証します。

・マップを見て「行きたいと思うか」を確認
・行きたい場合:理由(例:手書きの親しみやすさ)
・行きたくない場合:理由(例:展示されていても見ない)
・手書き情報をデジタルで表示した場合の印象や行動の違い

これにより、「手書きの温度感」や「他者の声の力」がまちへの関心にどのように影響するかを明らかにしていく予定です。

定例会に参加してみて

「まちの中で人と人がつながる場をどうつくるか?」

まちプロジェクトの学生たちは、墨田を舞台に街の公共空間を活用し、人々の生活体験の向上と地域活性化を目指しています。

卒業研究発表に向け、彼らのデザインが街に活きる日を楽しみにしています。

総合プロジェクトでは、街や人と直接関わりながら体験的に学べる環境が整っています。墨田サテライトキャンパスは高校生や街の一般の方も自由に見学できます。ぜひ遊びにきてください!

墨田キャンパス:墨田サテライトキャンパスとdri | ちばだいプレス

アクセス:〒131-0044 墨田区文花1-19-1 東武亀戸線 小村井駅より徒歩5~10分